2020.05.05
5月3日は憲法記念日です。
憲法が公布されたのは昭和21年11月3日で,施行されたのが昭和22年5月3日ですので,憲法記念日は憲法「施行」記念日ということになります。憲法が公布された11月3日は文化の日になっています。
現政権は憲法改正を実現するということを言い続けており,令和2年5月3日にも首相が改正の意気込みを述べたと報じられています。その改正内容は9条が念頭にあるようですが,現憲法下における初の改正がいきなり9条というのはハードルが高いように思われます。
まずは現に改正すべき必要性が叫ばれている部分や国民の人権を拡充する方向での改正を行う方が,今後の改正手続も円滑に進むのではないでしょうか。
例えば現在改正する必要があると一部で言われているのは憲法24条1項です。同条項は以下のように規定しています。
「婚姻は,両性の合意のみに基づいて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。」
同条項は婚姻が「両性」の合意のみに基づいて成立すると規定しています。この「両性」の解釈が問題となっているようです。
というのも昨今においては同性の結婚を法的に認める国家も出現しており,日本でも同性パートナーの証明書を発行する自治体があります。こうした流れの中,憲法の同条項に同性婚が含まれるかという議論が起こっています。
ここで1つの考え方として,従来の一般的な語義に基づいて「両性」を解釈するのであれば,男性と女性を示すことにもなろうかと思います。また,その後に「夫婦」とあることからも「両性」とは男性と女性を前提としていると解釈することが素直とも思われます。こうした解釈に基づくならば,憲法は男性と女性の結婚を前提として規定したのであり,同性婚については予定していなかったという結論もおかしくはありません。
しかし憲法が掲げる個人主義(憲法13条)を前提とすると,明文で婚姻を異性間に限定することが整合しているのか,かなり疑問があります。
全ての国民が個人として尊重されるという根源的な理念から出発すれば,個人が望む婚姻形態も尊重されて然るべきであるとの結論に至る方がむしろ素直ではないでしょうか。少なくとも婚姻を異性間に限定した形で規定することで,間接的に同性婚が規定外にあるといった「差」が生じることは憲法が積極的に予定するものではないと思われます。
24条については改めて述べるとして,前述のような意図しない「差」が生まれるおそれを放置するよりも,改正により文言を変更することが望ましいのではないでしょうか。例えば「両性」,「夫婦」を「両当事者」のような文言にするべきなのかもしれません。
このような改正案が国民に提案された場合,果たしてどの程度の投票率となるのか,そして改正案は過半数の賛成を得られるのか,非常に興味があります。
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