弁護士ブログ

極端な意見

2019.09.12

 新聞その他の報道において,日弁連が会として決議を出したことが報じられることがあります。埼玉弁護士会など各県の弁護士会(単位会)も会長声明を出すことがあります。日弁連の決議で有名なものでは死刑制度廃止でしょうか。最近では同性婚の法制度化がありました。朝鮮学校への補助金停止に反対する声明もありました。これらの決議や声明の内容に反対の立場の方も多いのではないかと思います。そのため日弁連や弁護士に対する誹謗中傷も増えているようです。

 一般の方々にとっては弁護士が「極端な思想」を持っており「極端な意見」を述べているように映るかもしれません。では,弁護士の思想や意見が極端であったとして,弁護士は何故,そのような極端な意見を表明するのでしょうか。

 民主主義において,物事は多数決で決められます。立憲民主主義においては少数派を尊重した上で多数決を行うことになっていますが,現在は有名無実化していると言っても過言ではないでしょう。その結果,民主主義の過程において少数派は徹底的に排除されることになります。そして少数派が意見を反映させようとした場合,前記のとおり民主主義の過程では反映されませんから,民主主義の過程の外から変えていく方法を採らざるを得ないことになります。その民主主義の過程の外に弁護士がいると考えて下さい。つまり弁護士は民主主義の過程の外から,少数派の意見を反映させるために決議や声明を出すのです。

 そして決議や声明はどこに向かって発せられるかというと,主に国家です。不健全な国家は多数派の意見のみに従って動きますので,少数派の意見など反映しようとしません。そのため国家自体が極端な姿勢を採っている状態なのです。そのように極端な姿勢を採っている国家に対して,多少でも譲歩を示すような意見を述べると,国家(多数派)に都合の良い方向に押しきられてしまいます。それを防ぎ,国家(多数派)と相互に譲歩した結論に落とすためには極端な意見を述べておかなければならないのです。

投稿者:河野邦広法律事務所

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