2019.08.10
憲法は全部で103条までありますが,31条から40条の10条を使って刑事手続について規定しています。これは⑶刑事弁護制度の歴史で書いたように,戦前の刑事手続において裁判官まで一緒になって被告人を拷問するといった人権蹂躙が罷り通っていたことから,二度とこのようなことが起こらないように,憲法36条で「公務員による拷問」を「絶対に」禁止し,その他の規定でも人権を手厚く保障したといえます。
そして今後,刑事手続における人権侵害が起こらないように,国家権力から国民を守る役割を弁護人に担わせたといえます。
こうして刑事弁護の歴史を知った後に憲法の条文を読むと,なぜ憲法が公務員による拷問を「絶対に」禁止したのか,また国家機関ではない個人である「弁護人」を明文で規定したかが理解できるのではないでしょうか。
(つづく)
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