弁護士ブログ

苦しめられる受験生

2022.02.11

 受験シーズンに突入しています。受験生の皆様には自分の力を発揮していただきたいと思います。

 とはいえ今年の大学受験では共通テストの段階で受験生を不安にさせる事件がいくつも起こっています。共通テストの会場で刺傷事件が発生し,スマートフォンを使用したカンニングが発生し,数学ⅠAは前代未聞の難易度で多くの受験生のメンタルを壊しました。

 数学ⅠAについては,あまりに話題になっているため,問題を拝見しました。私は受験で数学を利用していたので過去のセンター試験などの傾向は理解しておりますが,印象としては「難易度調整のミスかな?」という感じでした。少なくとも時間内に解くことは無理だろう印象です。とはいえ,全受験生にとって難しかったということなので,冷静に得点分布などを分析して,過剰に弱気にならないようにしていただきたいと思います。

 スマートフォンを使用したカンニングについては氷山の一角で,スマートフォンを使用した類似の事案は多発していると思います。話は逸れますが,youtube動画などで「チート」という言葉が普及した現在では,「カンニング」も「チーティング」に変えていった方が良いのではないでしょうか。それはさておき,このニュースで私が理解できなかったのが,カンニングをした学生が東京の私大文系を目指していたという情報です。私のイメージでは,私大文系の受験生は,共通テストを受験しないのではないか,受験するとしても,そこまで必死に受験する必要がないのではないか,といった感じです。現在は私大文系の共通テスト利用が多いのでしょうか。カンニングをして多少の得点を上げるよりも,私大文系の一般受験を頑張った方がコストパフォーマンスが良いのではないかと疑問に思いました。

 共通テスト会場での刺傷事件については,ついにここまで来たか,という印象です。2019年5月30日付けブログの記事で私は,貧困から満足な教育が受けられない子どもだけではなく,ありがた迷惑な押しつけ教育・受験に苦しむ子どものケアが必要であることを主張しました。当時から2年半,コロナウイルス感染拡大による社会の閉塞感を経て,歪みが明らかになった感があります。Youtubeを初めとする動画の普及やテレビ番組での高学歴カテゴリーの流行により,より広い層の方々の間で,昔よりも高学歴(特に東大や医学部)ブランドに対する執着が強くなってきたように思います。執着しているのは主に親ですが,受験をする子においても,東大や医学部に入学できなければ人生が終わってしまうような強迫観念にとらわれているように見えます。しかし彼らが執着しているのはあくまで「ブランド」であり,中身が伴っている印象はありません。25年前に大学受験を経験した私からすると,このような思考はもったいないと思います。私から言わせてもらえば,現代の子どもたちは,海外の大学を含めた広い視野で進学を検討してもよいと思います。私が子どもの頃は,親が海外で働いていた等の特殊な事情がない限り,海外の大学に進学するといった選択肢は皆無であり,あり得ないものでした。また政府,マスコミの偏向もあると思いますが,外国の情報といえばアメリカの情報くらいしか得られませんでした。しかし現在では海外にインターネットで容易につながることができ,情報を得ることができるようになりました。このような環境を利用しないことは,私からすればあり得ません。ある程度の学力がありながら,日本の受験になじめない子がいたら,少し視野を広げて世界の大学の情報を調べてみることをお勧めします。もちろん海外の大学に進学しなくてもよいのであり,世界の広さと,日本の大学より良い大学がたくさんあることを知ってほしいと思います。そして狭矮な受験制度の中にうずもれ,悩んで,自分を壊すべきでない,と気付いてほしいと思います。

投稿者:河野邦広法律事務所

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