2019.08.29
7回に渡って「弁護士はなぜ悪い人を弁護するのか」についてお話しさせていただきました。
長い文章を読んでいただきありがとうございます。
「よくわかった」と言っていただける方と「やはり納得できない」という方の両方がいらっしゃるかと思います。ほとんどの方は逮捕・勾留,起訴などということは経験しないため,情状弁護の必要性について現実味をもって理解することが困難なのは重々承知です。
しかし戦後の平和な国民生活は,戦後政治や経済発展のみによるものではなく,戦前の国民による国家権力との闘争とそこから得られた教訓なくしては存在し得ません。過去の国民に感謝し,過去の犠牲に報いるためにも,過去に起こった国家権力による国民の悲劇を事実として真摯に受け止め,その悲劇を繰り返さないと誓った憲法の理念を心に刻むことが必要であると考えます。これは先人からの恩恵により平和な生活を享受する現代の国民の責務ではないかと思います。過去の悲劇を知り,これを忘れなければ,弁護人の必要性を少しは現実味をもって理解することができるかもしれません。
そして弁護士は憲法から託された尊い職務を全うするよう真摯に努力しなければならないと思います。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。
(おわり)
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